新型コロナウイルスワクチン後の腕の痛み

お知らせ

最近、同じような悩みを持っている方が多いのですが、まず腕の痛みは中医学でいうと、四肢(しし:両手両足)疼痛の上肢痛(ジョウシツウ)といいます。

四肢疼痛というのは、上肢・下肢あるいは、上下肢の筋肉・関節・軟部組織などの疼痛を指します。【中医症候鑑別診断学】


原因(病因)として多くは、

①風にあたりすぎる(風邪)

②冷え(寒邪)

③湿気の影響(湿邪)

④熱による影響(熱邪)

⑤湿気と熱による影響(湿熱)

⑥身体の弱りや血の不足(気血両虚)

⑦身体の弱り(肝腎両虚)


では、ワクチンをどう考えるか。。。

①湿気と熱による影響(湿熱邪)

➤ワクチン接種後、身体のツボや出る症状を考えると湿気と熱による影響を考慮しないといけません。


②筋肉(肌肉)の損傷(瘀血)

➤注射の際、今回のワクチンは筋肉に刺しているので、太い注射針は刺し方によっては痛めることが考えられます。


③経絡の損傷(経絡経筋病)

➤東洋医学には経絡と言われるツボの流れがあり、注射によってこの流れを傷めることで痛みが生じることがあります。

大きく分けることこの3つが考えられますが、単一ではなく、3つとも兼ねる場合があるため、人によっては治りずらく、痛みがずっと残ったままになるようです。

もちろん、元々身体の弱りがあったり、色々な影響があったうえで、注射によって誘発されるパターンもあるため、治療者側としては、生活状況の把握、食生活、職場の環境や住居環境などいろいろと考慮し、対策できることは対策しつつ、身体を先に治すことで環境に耐えられる身体づくりしていき、痛みをとっていくこと、になります。



ここからは医療者向けになりますが、

①風邪によるもの(行痹)

風邪の特徴として遊走性があるため、ワクチン後痛みの移動があるかどうかがポイントとなります。また、表証を伴うことがあるため、ワクチン接種前に風邪を引いていたかなども確認が必要です。

・遊走性の疼痛、屈伸障害、表証所見

・舌苔は薄白、膩

・脈は浮

治法:祛風を主体にして散寒利湿を配合。

⇒さらに補血薬を加える「風を治すには先ず血を治し、血行れば風おのずと滅ぶ」

処方:防風湯


②寒邪によるもの(痛痹)

冷えによって増悪することが特徴ですので、朝冷えている時、夜外に出て冷えた時などは痛むがその後、入浴や温めると軽減するなど状況を想像して問診にあたるとよいかと思います。

また、痛みは固定性で強く、局所の皮膚に発赤が出ないことが多いので局所の観察は必ず行うべきです。

・四肢の冷え、寒がり

・舌苔が白

・脈が弦緊

治法:散寒を主体にし辛温補火を加えて寒凝を解消させる

処方:烏頭湯、疏風活血湯、小活絡丹


③湿邪によるもの(着痹)

湿の重濁性によって、重だるさを伴うため、雨天時に重だるさが増強するなどの特徴があります。

こちらも痛みは固定性で、皮膚の痺れ感を伴いことがあり、慢性化すると筋肉が硬化し関節が変形して動かなくなります。

・舌苔は白膩

・脈は濡緩

治法:利湿を主体にして祛風散寒を補助

処方:薏苡仁湯、除湿蠲痹湯


④熱邪によるもの

熱邪の場合は、陽亢の体質や内熱がある人が風寒湿邪を感受して発生する。

《金匱翼》「臓腑経絡まず畜熱を有して、また風寒湿の気に遇いてこれを客し、熱は寒のために鬱し、気は通ずるを得ず、久の寒また熱と化し、すなわち𤸷痹煽然といて悶するなり」

熱邪が主となるため、発赤、腫脹、熱感が生じ、患部を冷やしたりすると軽減します。

また、発熱、口渇、煩躁を伴うこともあり、熱邪の強さによっては痛みが強いこともあるでしょう。

・舌質が紅、舌苔が黄で乾燥

・脈が数

治法:清熱・祛風徐湿

処方:白虎加桂枝湯加減

⇒関節の発赤や腫脹・筋肉のひきつり・高熱・はげしい口渇を伴うときは、犀角湯加減


⑤湿熱邪によるもの

湿熱の邪の侵襲・湿盛のものが熱邪の侵襲を受ける、湿邪が長期のうちに化熱するなどの原因で、湿熱が蘊結(停滞鬱結)して発生。

熱邪と湿邪の特徴を兼ねますが、熱邪の程度、湿邪の程度により口渇がみられたり、みられなかったりするため、ウェイトの判断が重要になります。

また、熱邪に比べ湿証が明らかです。

寒邪の鑑別として尿の色は濃くなるため、尿色は寒熱の鑑別に有用です。

また皮膚の紅色結節を伴うことがあります。

・脈が滑あるいは濡数

・舌質が紅、舌苔が黄膩

治法:清熱燥湿

処方:二妙散あるいは当帰拈痛湯


⑥気血両虚によるもの

疲労感や動作後、活動後に増悪するのが特徴で、気血不足による筋肉のやせ、息切れ、話すのをめんどくさがったり、血虚による顔色が蒼白や口唇や爪が淡白でつやがなくなる、めまい、衛気が漫ろとおなり、悪風、自汗などの症状がみられます。

・脈が細弱

・舌質が淡、舌苔が薄

また、気虚によって瘀血を伴うときは、関節の固定性で刺すような疼痛・圧痛・肌膚甲錯・るい痩・関節の変形や拘縮

・舌質が暗で瘀点、舌苔が薄膩

・脈が細渋

治法:補気養営、活血化瘀

処方:桃紅飲加黄耆・党参・桂枝・川芎を用い、全蝎・地竜・蜣蜋・穿山甲・蜈蚣・烏梢蛇などの虫類捜風薬を加えるか、大活絡丹・小活絡丹・麝香丸などを配合する

瘀血以外にも気虚によって脾の運化が低下して痰濁を伴うと、身体の重だるさ、頭がしめつけれるような感じが生じる

・舌質が淡、舌苔が白膩

・脈が弦滑

治法:益気調営・滌痰通絡

処方:帰芍六君丸と指迷茯苓丸の配合を用いる


⑦肝腎陰虚

筋肉や関節が弛緩あるいは拘縮してだるく痛み、頭のふらつき・めまい・爪がもろい・腰や膝がだるく無力・聴力減退・歯の動揺・脱毛・インポテンツ・遺精

・尺脈が沈細あるいは沈弱

陰虚の場合は、四肢の関節の熱感と疼痛があり、冷やすと軽減し、疼痛は夜間に増強し、頬部の紅潮

・舌質が鮮紅で少苔あるいは紅絳で乾燥

陽虚の場合は、両足の浮腫・泥状~水様便・尿がうすく多い・手足の冷えなどを伴う。

治法:補肝益腎・宣痹和絡

処方:独活寄生湯の加減を用いる

●四肢疼痛を引き起こす原因は、外因としては、風・寒・湿・熱の病邪であり、内因としては気血虚弱・肝腎の虚衰および病理的産物の血瘀・痰濁になります。

今回のテーマであるワクチン接種においては、湿、熱、瘀血、痰濁、経絡の損傷などが関与し、疼痛の性質・兼症などから詳細に鑑別し、弁証論治することによりはじめて治療効果をあげることができるでしょう。

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