湿熱証

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湿熱証というのは湿と熱が合わさり、人体に侵襲し、蘊結・薫蒸して起こる証候です。

※蘊結:「蘊」は、包むか籠るという意味があり、「結」は詰まる状態を表します。

※薫蒸: いぶしむすこと。

ケースとしては、

①外邪として、口鼻から入ってくるケース

②湿邪が長期に体内にあり、それが熱を生じるケース

③脾胃の湿から熱を生じて起こるケース(特に酒、乳製品により脾胃を傷めることが多い)

熱が湿中にあり、それが内外に薫蒸して気機を阻滞さえ、経気不利や臓腑の機能失調が起こる。

熱・湿のウエイトがあり、鑑別が必要となりますが、もちろんどちらも同程度に強い場合もあります。

1.湿が盛んで熱が軽いもの(湿重熱軽)

2.熱が湿より強いもの(熱重湿軽)

湿が勝れば、陽を損傷し、熱が盛んであれば陰を損傷するため、経過としては、

初期:実証

中期:虚実錯雑

後期:正虚邪恋

といった経過を辿ることが多いです。

※邪恋:恋の元は戀であり、心の絲+言は「言葉でけじめをつける」からなり、もつれた糸にけじめをつけようとしても容易に分けられないことを意味し、邪恋は非常に複雑な邪の絡み方を示すのでしょう。

恋しく離れがたいという意を示す場合もありますが、どちらにせよ邪の頑固さを表現しています。

症状としては、

①身熱不揚

⇒午前中など湿邪が旺盛である時間帯は熱をより強固に包むことで熱のこもり感もしくは熱感を感じませんが、湿が減り、熱を旺盛となる午後に熱がひどくなります。

②頭身困重

⇒湿が清陽に影響すると、頭脹感や頭重感が起こり、湿が経脈に阻滞すると身体痛(重だるい痛み)や身重感が起こる。

③口乾あるが、水分を欲しくはない。もしくは多飲しないか多飲できない

⇒湿熱が内蘊して津液が上昇しないと口渇が起こり、湿熱が阻滞して気機が悪くなると胸悶腹脹が起こります。

④食思不振

⇒湿熱邪の影響で脾に問題が生じ、食欲がなくなる。

⑤面目周身発黄

⇒湿熱による蘊毒が上部に影響すると顔や目が手足に影響すれば、手足が黄色っぽくなる

⑥皮膚発痒

⇒痒みや発疹(ジュクジュク)が出現する

⑦嘔吐

⇒湿が中焦に阻滞し、胃気が上逆すると悪心嘔吐が起こる。

⑧大便は粘りがあるものがでる。

湿熱が腸に影響すると、湿には粘滞性があるので、軟らかい便となり、排便後、スッキリできない。

湿重熱軽では、はじめが軟かく、あとが硬くなる。

熱重湿軽では、反対にはじめが硬く、おとが柔らかくなる。

⑧小便赤あるいは出にくい

⇒裏熱偏盛により小便は赤くなる。

⑨女子帯下黄稠

⇒女性の場合は、濁って、臭いのある黄色のネバっとしたおりものが出る。

⑩舌苔膩、脈濡緩あるいは濡数、滑数となる。

鑑別として、

①湿阻証

・湿阻証は病因として似るが、中焦で引き起こされ、舌体としては口淡、小便は中焦で停滞しているため、少なくなり、苔が厚くなります。

また、湿熱は熱象がみられますが、湿阻証はみられないことが鑑別点となります。

②寒湿証

・寒湿の多くは脾陽が不振となるため、同じ食欲不振でも特に朝食が食べにくいなど、違いが現れます。

また、寒湿証は寒象が現れますが、湿熱証には現れないのが特徴です。

参考図書

・中医弁証学

・中医証候鑑別診断学

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