改変問題解説⑧「舌尖紅」

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以前、投稿した解説⑦の続きになります。

改変問題解説⑦「便秘

今回は、「舌尖紅」について考察したいと思います。

以前、投稿した「絶対に舌の苔を磨かないで!」に記載したように、舌尖部というのは、舌の先端部分のことで、舌診においては、上焦部(身体の上)、臓腑では心・肺の状態を表します。

ただし、舌尖部の問題=心肺の異常ではないので、他の診断法と組み合わせて、総合的に判断が必要です。

紅というは、正常舌の淡紅という少し淡い紅より色が濃く、鮮紅あるいは深紅色をいいます。(より色が深いものを絳といいます。)

紅は熱を示します。

《舌鑑弁正》「色深紅のもの、気血の熱なり。色赤紅のもの、臓腑倶熱なり」

そして、舌尖部が紅ということは、

「舌尖」:上焦部 または 心肺に

「紅」:熱が存在する

ということになります。

では、問題を確認してみましょう。

前回までで、心・肝・熱・瘀血・痰火・陰虚の考慮すべきものがありました。

心熱:舌診によって、より明らかとなりました。

肝熱:舌辺に紅点(赤い点)などあれば、よりウエイトが高くなりましたが、ありませんので、前回までを考慮し、心>肝が有力です。

瘀血:これも舌腹(裏)の静脈(怒張)や瘀点(黒い点)があれば、有力でしたが、記載されていないので不明もしくはそこまでウエイトは高くないことが伺えます。

痰火:熱は所在が明らかですが、痰については、膩苔(舌の苔)などの情報があれば有力となりました。

陰虚(血虚):陰虚でも舌尖部に紅は出ることがありますので、捨象は難しいです。この場合は、紅の鮮やかさ、舌のしまりなど他の情報が欲しい部分ではありますね。

血虚では、淡白舌といって、舌自体が白っぽくなると有力となります。

以上を考慮して、次に移る必要があります。

引用参考文献

・高橋楊子:CD-ROMでマスターする舌診の基礎.東洋学術出版社

・『症状による中医診断と治療』縮刷第七刷,編訳神戸中医学研究会,燎原書店,2014

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