以前、投稿した解説⑤の続きになります。
改変問題解説⑤「寝つきの悪さ」
今回は、「顔が赤い」について考察したいと思います。
顔が赤いことについては、東洋医学で「面色紅」といい、正常の人よりも顔色が紅い状態を指します。
通常は体内に熱があることを示す。
≪霊枢・五色篇≫では「五色をもって臓を命し、・・・赤は心となす」「黄赤は熱となす」
≪傷寒論≫では面色紅を「熱色」といい、「面色赤」「面色縁々正赤」「面合色赤」
≪証治準縄・察色要略≫では「赤色は火に属し、熱を主り、すなわち手の少陰心経の色なり」
以上のように、多くは熱を示し、心経との関連があることを示唆している。
分別としては、
・顔全体が紅いことを「満色通紅」
・頬部が紅いことを「両顴潮紅」
・化粧をしているように紅いことを「面紅如妝」
など分けられることがある。
〔弁証分型〕
1.外感風熱
2.陽明熱盛
3.熱入営血
4.陰虚内熱
5.虚陽浮越
基本的には外邪、実熱、虚熱と弁別することが可能です。
面色紅には表裏、虚実、寒熱の弁別があるため、色の特徴をしっかりと捉える必要があります。
顔色が紅色で明るく潤いがあるのはよく、紅色で枯槁しているのは元気不足である場合があります。
また、顔面紅潮は気逆や気滞の二次的なものの場合も多く、しっかりとした鑑別も必要となります。
補足として、顔面には手足の陽経すべてと手少陰心経と足厥陰肝経が流注し、経別においては六合が顔面部で合しているため、気血が充実していると気色は明るく、潤いと膏沢が出ます。
しかし気血が不足したり臓腑に異常があると、顔面の気色に異常が現れます。
≪素問・五臓生成篇≫には「赤きこと衃血のごときは死す。・・・赤きこと鶏冠のごときは生く」
≪素問・脈要精微論≫には「赤は白に朱を裹むがごときを欲し、赭のごときを欲せず」
そして、前回よりさらに心のウエイトが高くなり、熱邪の所在を伺わせる項目になったのではないでしょうか。ただ、紅色の詳細がわからないため、ここでも瘀血、痰火、陰虚(血虚)を否定することができず、虚実の鑑別はいまだ難しい状況にあります。
引用参考文献
・『症状による中医診断と治療』縮刷第七刷,編訳神戸中医学研究会,燎原書店,2014
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